Monthly Pickup Artist
Monthly Pickup Artist 2020/10
Monthly Pickup Artist
Harokkaを彩る旬なクリエイターを毎月紹介し、その活動や人柄にスポットを当てるコーナー。
普段のお仕事や意外な一面、作品への想いなど、気になるクリエイターに注目!
第21回は、「子どもの頃のワクワク」をテーマに、あたたかく懐かしい世界観を描くイラストレーター、カトウヨシミさんをピックアップ!
Q1 絵を描き始めたきっかけはなんですか?
大学では建築を専攻していたので、設計の課題がよく出たのですが、プレゼンシートに設計図やイメージパースを描いて授業で発表すると、いつも教授から「君は、設計はてんでダメだけど、絵だけは上手だね」と講評されていました(苦笑)
「そっかあ、私、建築の才能はないけど、教授から見ても絵が上手なら、絵を描く仕事がしたいなあ」と思い、イラストレーターを目指し始めました。
学科の中で、そんな変わり者は私しかいなかったと思います。
Q2 子供の頃はどんなお子さんでしたか?
「鉛筆一本投げてやれば、いつまでもいつまでも絵を描いていた」
「大きな紙にびっしりと細かい絵を描いているのを見て、この子は少しおかしいのではないかと心配した」
と、親に言われたことがあります。とにかく良く描く子どもだったらしいです。
また、小学生の時は休み時間になると、よく皆がノートを持って走ってきて、「怪獣を描いて」「女の子を描いて」と、リクエストをくれました。
ある意味、あの頃がイラストレーターとして一番人気のあった時代だった気がします(笑)
Q3 目標にしているアーティストはいますか?
同じイラストレーターの友人が何人かいるのですが、出会った頃からずーっと変わらずに接してくれる優しい方に恵まれています。
仕事の数や内容に決して奢ることなく、常に謙虚で親切にしてくれる先輩方を尊敬していますし、私もそうでありたいと思える身近な存在であり、目標となっています。
とても感謝しています。
Q4 今までで一番苦労したお仕事はなんですか?
どのご依頼も、必ず何かしらの難しさは感じます。
相手方によって、信念や大事にしている想いは少しずつ違うので、求めるイラストの形も変わってくると思います。
そういう意味では、全部の仕事に苦労した気もしますが、それ以上の喜びを感じていることも事実です。
苦労を苦労と思わず、そこがイラストを描く仕事の醍醐味と感じられるようになった時、このお仕事の真の楽しさが理解できたような気がしました。
Q5 デザインをする中で、特に意識していることはありますか?
例えば、美味しそうな食べ物や、ふわふわのぬいぐるみなど、好きなモチーフはたくさんあります。
かたい、やわらかい、暖かい、冷たい…など、それらの質感や温度をイラストに少しでも表現しようとすることで、動かない筈の絵が生き生きと動き出すような気がします。
ただ、リアリティだけを求めすぎると、じゃあ写真でもいいんじゃない?…と、なってしまうので、描き込み具合のバランスを意識しています。
Q6 アーティスト活動をされていて、一番嬉しかったことはなんですか?
普段、子ども向け、保育関係の仕事の依頼が多いのですが、仕事の成果物に記載されたイラストレーター名を見て、かつての中学の同級生が、わざわざ私のイラストサイトを見つけ出し、連絡をくれたことがありました。
「子どもとテレビを見ていたら、イラストと名前が流れて、ああ絶対、絵が上手だったカトウヨシミちゃんだって思って…」と。
お母さんになった友達が、お子さんと私のイラストを見てくれて、しかも再会できてしまったんです。
なんて素敵なんだろう、なんて嬉しいことだろうと、絵を描いていて本当に良かったと実感しました。
Q7 デザイン・アート以外の趣味や特技はありますか?
私は、絵を描いていない時は全然アドレナリンが出ない、ダラダラのダメ人間で(笑)、予定がなければ愛猫と一緒に何時間でも眠れます。
ある意味、これが趣味であり、特技かもしれません……。
もう本当に猫が好きで、可愛くて可愛くて。猫のことなら一晩中でも語れます。
あんなに素晴らしく可愛い生き物は、他にいません!
Q8 将来の展望や目標はなんですか?
私は常に、「子どもの頃のワクワク」をテーマに作品を制作しています。
子ども時代に見ていた景色、ふと眺めた絵や本の文章に感じていたこと。
数限りないそれらの思い出に、今でもドキドキワクワクすることがあります。
それはかつて子どもだった自分に、当時の大人たちが創ってくれた贈り物だったのかもしれません。
大人になった今は、大人の私が、今の子どもたちをワクワクさせてあげたい。
それが私の夢であり目標であり、当時の大人たちへの恩返しだと思っています。
だから、これからも子ども向けのお仕事をたくさん手がけられたら嬉しいです。
Q9 クリエイターを目指す方にアドバイスがあれば教えてください。
「もっと上手になりたい」「自分のタッチを確立したい」と真剣に思えば思うほど、絵を追求する事に息苦しさや葛藤が生まれるのは当然だと思います。
私の場合、真剣になるほどに、大好きだった筈の絵を描くのが辛くて辛くてたまらなくなり、そんな生活が悲しくて、数年間、描けない時期がありました。
「こんなに悩むくらいなら、絵なんか描けない方が良かった」とまで思いました。
でも、自ら手放そうと思った夢も、本当に好きなことならば、絶対手元に返ってくるのだと思います。
もちろん創作し続けることは大切だけど、本当に辛い時は、思い切って全く別なことを試してみたり、休息しても大丈夫。
案外、振り返れば、そんな時間の中での経験こそが、創作のヒントになったりするものだと思います。
Q10 今後Harokkaでやってみたいことはありますか?
Harokkaさんの素材はとても品質が良くて信頼できるものばかりなので、個展やイベントの際、何らかの形で、いつかぜひ使用してみたいと思っています。
現在、玄光社より発売されている「キャラクターファイル2020-21」にカトウさんの作品が掲載されています。
玄光社の公式サイトやAmazonでの立ち読みページでもカトウさんの作品がご覧いただけます。
書店に足を運んだ方は、ぜひカトウさんの世界観に触れてみてください。
きっと子どもの頃のワクワクや、懐かしい気持ちを思い出すイラストに出会えますよ。